ティテとまゆげ横丁
まゆげ横丁に引越してきたティテの冒険物語
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となりのまゆげ
一週間ほど前、6歳になるティテとティテの家族は、このまゆげ横丁に引っ越してきました。
この辺りの本当の名前はコロイワ筋と言うのですが、あまりにもおかしなまゆげをした人たちがたくさん住んでいるので、「まゆげ横丁」と呼ばれるようになったそうです。
このまゆげ横丁には、本当におかしなまゆげをしている人たちがたくさんいます。なが〜いまゆげに、くるくるまゆげ。まゆげタトゥーをしている人や、まゆげの植毛をしている人。金色のまゆげや緑のまゆげ。まゆげにビーズをつけてオシャレを楽しんでいる人もいます。
ティテはそんなおかしなまゆげをした人たちを見るたびに、お腹をかかえて笑うのをこらえていました。
「どうして、このまゆげ横丁に住む人達はみんな、おかしなまゆげをしてるのかな?」
と、ティテはいつも思っていました。
ティテの家はまゆげ横丁のど真ん中にあります。車が3台くらい止められるお庭のある、2階建ての新しいお家です。しかし、隣には今にも傾きそうな古臭い美容院がありました。
1階が美容院になっていて、2階にはどうやら人が住んでいるらしい。
この一週間、おかしなまゆげをしたお客の出入りは見るものの、
経営者の美容師の姿は一度も見たことがありませんでした。
ティテはブタのタロの散歩に出かけるとき、いつも美容院の中をのぞいてみるのですが、窓には濃い紫色のカーテンがかかってあり、中を見る事はできませんでした。
「今日こそはどんな人がいるのか確かめるぞ!何色のまゆげかな?なが〜いまゆげかな?太いまゆげかな?」
と想像を膨らませながら、ブタのタロの散歩の準備をしているティテの所に、ティテのおかあさんがやってきました。
「あら、散歩にでかけるの?ちょうどよかったわ。まだご近所のあいさつしてなかったから、今からコレをお隣の美容院に持って行ってきてちょうだい。」
と言い、ティテに小包をわたしました。
「え、1人で行くの?」
ティテは不安になりながら言いました。
「おかあさんは他にもあいさつに行かないといけないから、ティテは散歩のついでにお隣さんにあいさつしてきてね。ちゃんとよろしくお願いしますって言っておいてね。」
と言い美容院とは反対側の方向へ行ってしまいました。
ティテは不安いっぱいになりながらもブタのタロを家の前の電信柱にくくりつけ、小包を左腕にかかえ、ドアベルをならしました。
「こんにちは!この前隣に引っ越してきたセイツァーです。」
大きい声でティテが叫ぶと、目の前にあった扉がソッと開きました。
中は真っ暗で、人影だけがうっすらと見えています。」
「中へお入り坊や。」
おばあさんの声がしました。きっとこの人がここの美容師なのでしょう。
ティテは息を呑み、
「い、今散歩の途中なので…。あっ、こ、これ、たいした物ではございませんが…。」
と少し声を震わせて言いました。
「坊や、君の名前は?」
抱えていた小包を両手で渡しながら美容師の顔をのぞこうとしたティテはハッと目を伏せ 「ティテです。ティテ・セイツァーです。」
と答えました。
すると美容師は小包を眺めながら
「ティテ。私は今仕事で忙しいから、また明日の朝ここにきなさい。お礼にとっておきのものを用意しておくからね。」
と言い、扉を閉めようとした時、ティテは「さようなら。」と言いながら、もう一度美容師の顔をのぞきこみました。
しかし、まゆげ辺りが太陽の光で反射し、キラキラと光って見えただけでした。
「それじゃあ坊や、また明日。」
と美容師は言うと、サッと扉を閉めてしまいました。
「いったい、今の光ったまゆげは何だったんだろう。」
しばらく、扉の前に突っ立っていたティテでしたが、
また、あの怪しい美容師が中から出てきては困ると思い
すぐにブタのタロの紐を解き、散歩を続ける事にしました。
この辺りの本当の名前はコロイワ筋と言うのですが、あまりにもおかしなまゆげをした人たちがたくさん住んでいるので、「まゆげ横丁」と呼ばれるようになったそうです。
このまゆげ横丁には、本当におかしなまゆげをしている人たちがたくさんいます。なが〜いまゆげに、くるくるまゆげ。まゆげタトゥーをしている人や、まゆげの植毛をしている人。金色のまゆげや緑のまゆげ。まゆげにビーズをつけてオシャレを楽しんでいる人もいます。
ティテはそんなおかしなまゆげをした人たちを見るたびに、お腹をかかえて笑うのをこらえていました。
「どうして、このまゆげ横丁に住む人達はみんな、おかしなまゆげをしてるのかな?」
と、ティテはいつも思っていました。
ティテの家はまゆげ横丁のど真ん中にあります。車が3台くらい止められるお庭のある、2階建ての新しいお家です。しかし、隣には今にも傾きそうな古臭い美容院がありました。
1階が美容院になっていて、2階にはどうやら人が住んでいるらしい。
この一週間、おかしなまゆげをしたお客の出入りは見るものの、
経営者の美容師の姿は一度も見たことがありませんでした。
ティテはブタのタロの散歩に出かけるとき、いつも美容院の中をのぞいてみるのですが、窓には濃い紫色のカーテンがかかってあり、中を見る事はできませんでした。
「今日こそはどんな人がいるのか確かめるぞ!何色のまゆげかな?なが〜いまゆげかな?太いまゆげかな?」
と想像を膨らませながら、ブタのタロの散歩の準備をしているティテの所に、ティテのおかあさんがやってきました。
「あら、散歩にでかけるの?ちょうどよかったわ。まだご近所のあいさつしてなかったから、今からコレをお隣の美容院に持って行ってきてちょうだい。」
と言い、ティテに小包をわたしました。
「え、1人で行くの?」
ティテは不安になりながら言いました。
「おかあさんは他にもあいさつに行かないといけないから、ティテは散歩のついでにお隣さんにあいさつしてきてね。ちゃんとよろしくお願いしますって言っておいてね。」
と言い美容院とは反対側の方向へ行ってしまいました。
ティテは不安いっぱいになりながらもブタのタロを家の前の電信柱にくくりつけ、小包を左腕にかかえ、ドアベルをならしました。
「こんにちは!この前隣に引っ越してきたセイツァーです。」
大きい声でティテが叫ぶと、目の前にあった扉がソッと開きました。
中は真っ暗で、人影だけがうっすらと見えています。」
「中へお入り坊や。」
おばあさんの声がしました。きっとこの人がここの美容師なのでしょう。
ティテは息を呑み、
「い、今散歩の途中なので…。あっ、こ、これ、たいした物ではございませんが…。」
と少し声を震わせて言いました。
「坊や、君の名前は?」
抱えていた小包を両手で渡しながら美容師の顔をのぞこうとしたティテはハッと目を伏せ 「ティテです。ティテ・セイツァーです。」
と答えました。
すると美容師は小包を眺めながら
「ティテ。私は今仕事で忙しいから、また明日の朝ここにきなさい。お礼にとっておきのものを用意しておくからね。」
と言い、扉を閉めようとした時、ティテは「さようなら。」と言いながら、もう一度美容師の顔をのぞきこみました。
しかし、まゆげ辺りが太陽の光で反射し、キラキラと光って見えただけでした。
「それじゃあ坊や、また明日。」
と美容師は言うと、サッと扉を閉めてしまいました。
「いったい、今の光ったまゆげは何だったんだろう。」
しばらく、扉の前に突っ立っていたティテでしたが、
また、あの怪しい美容師が中から出てきては困ると思い
すぐにブタのタロの紐を解き、散歩を続ける事にしました。
不思議な地下室
次の日、いつもより早く目が覚めたティテは、昨日の出来事を思い出し、
あわてて服を着替え、顔を洗うと、キッチンで朝ごはんを作っているお母さんのところへ行きました。
「今日、僕、お隣さんの所にお邪魔することになってるんだ。」
と、お母さんに言うと、できたての朝ごはんをテーブルまで運び、急いで食べ始めました。
「あら、もうお隣さんと親しくなったの?あんまりご迷惑をおかけしないようにね。」
お母さんはそう言うと、お父さんが食べた朝ごはんの後片付けをはじめました。
「あれ?お父さんはもう仕事に行ったの?今日は随分早いんだね。」
いつもは自分より後で起きてくるお父さんが、もう出勤していたのに少し驚きました。
「今日は、会社に行く前に寄って行く場所があるんですって。」
「ふ〜ん。めずらしいねぇ。」
ティテは朝からいつもと違う光景に、少し戸惑いました。
しかし、隣の美容師が気になるティテは急いで朝ごはんをすませ、ブタのタロに餌をやり、
お母さんの顔も見ずに
「行ってきま〜す。」
と言い、飛び出していきました。
勢いよく出たものの、隣の美容院を目の前にすると、すぐに立ちすくんでしまいました。
「ど、どうしよう。まだ早すぎたかな。やっぱり、もう少し後にしようかな…。」
と考えていたティテでしたが、体はいつの間にか美容院のドアの前まで来ていました。
「おはようございいます。昨日お邪魔したティテです。」
ベルをならし、大きな声でさけびましたが、誰もでてきません。
「やっぱり、まだ早かったかな…。」
もう1度ベルを鳴らしてみましたが、やっぱり誰もいない様子。
「もう少ししてから、また来よう。」
心の中ではそう思っていたティテでしたが、手が勝手にドアノブをまわしていました。
「カチャッ!」
ドアは開いているようです。
「おはようございま〜す。」
と小声でティテは言いました。
つきあたりのドアが少し開いていて、そこから光がもれていたので、今日は中がよく見えました。
美容院の中をぐるっと見渡してみると、左側の壁一面に大きな鏡があり、その前には散髪用のイスが3台とシャンプー用のイスが1台ありました。
「誰かいませんか〜。」
一歩中へ入り、物音がしないか耳をすましてみました。
「他の部屋にいて、僕の声が聞こえないのかな…。」
ティテは足音を立てずに、一歩一歩前へ進み、光がもれている突き当りのドアの前までやってきました。
「ここの部屋は電気がついているし、きっとここにいるんだろう。」
そう思い、静かにドアを開いてみました。
すると、目をギュッと閉じてしまうくらい眩しい光がさしてきました。
「うわっ、眩しい!」
腕で目をおおい、少し立ちすくんでいました。
しばらくして、目が慣れてくると、片目づつそっと開き、部屋の中をのぞいてみました。
「あれ、階段だ…。」
そこは、地下へつながる階段でした。
ティテは下の方を伺ってみましたが、光が眩しくて何も見えませんでした。
行こうか行くまいか迷ったティテでしたが、地下に何があるのか気になって仕方がなかったので、降りてみることにしました。
階段を10段ほど下りた時に、足元がサクッと音をたてました。
光が眩しすぎて、よく見えなかったので、手で目をこすり、何度も瞬きをして辺りを見回すと、
そこは一面砂浜でした。
「あれ?こんなところに砂浜がある…」
顔を上にあげ、前を見ると、そこには見覚えのある青く綺麗な海が広がっていました。
「ここは、僕達がこの前まで住んでた近くの海辺だ…。」
ティテはあまりにもビックリしたので、目を丸くしたまましばらくそこから動けませんでした。
「ど、どうして僕はここにいるんだろう…。」
無意識のうちに、砂浜を歩いていたティテでしたが、ここが美容院の地下だった事を思い出し、
あわてて、階段があった所へもどりました。
「なんで、美容院の地下に、僕達が住んでた場所があるの?」
何が何だか訳がわからずに、急いで階段をかけあがり、美容院のドアの外まで走って行きました。
全身全力で走ってきたティテは息をきらしながら、もう一度後ろを振り返り、美容院を見ました。
「これは、きっと夢だ。僕はまだ寝てるんだ。」
そう自分に言い聞かせ、ふらつきながらも家に戻っていきました。
ただいまも言わず、自分の部屋に飛び込んだティテは、さっきの不思議な出来事が頭からはなれず、まだ胸がドキドキしています。どうしていいかわからなくなったティテは、そのままベッドの上に横になり、いつの間にか眠ってしまいました。
あわてて服を着替え、顔を洗うと、キッチンで朝ごはんを作っているお母さんのところへ行きました。
「今日、僕、お隣さんの所にお邪魔することになってるんだ。」
と、お母さんに言うと、できたての朝ごはんをテーブルまで運び、急いで食べ始めました。
「あら、もうお隣さんと親しくなったの?あんまりご迷惑をおかけしないようにね。」
お母さんはそう言うと、お父さんが食べた朝ごはんの後片付けをはじめました。
「あれ?お父さんはもう仕事に行ったの?今日は随分早いんだね。」
いつもは自分より後で起きてくるお父さんが、もう出勤していたのに少し驚きました。
「今日は、会社に行く前に寄って行く場所があるんですって。」
「ふ〜ん。めずらしいねぇ。」
ティテは朝からいつもと違う光景に、少し戸惑いました。
しかし、隣の美容師が気になるティテは急いで朝ごはんをすませ、ブタのタロに餌をやり、
お母さんの顔も見ずに
「行ってきま〜す。」
と言い、飛び出していきました。
勢いよく出たものの、隣の美容院を目の前にすると、すぐに立ちすくんでしまいました。
「ど、どうしよう。まだ早すぎたかな。やっぱり、もう少し後にしようかな…。」
と考えていたティテでしたが、体はいつの間にか美容院のドアの前まで来ていました。
「おはようございいます。昨日お邪魔したティテです。」
ベルをならし、大きな声でさけびましたが、誰もでてきません。
「やっぱり、まだ早かったかな…。」
もう1度ベルを鳴らしてみましたが、やっぱり誰もいない様子。
「もう少ししてから、また来よう。」
心の中ではそう思っていたティテでしたが、手が勝手にドアノブをまわしていました。
「カチャッ!」
ドアは開いているようです。
「おはようございま〜す。」
と小声でティテは言いました。
つきあたりのドアが少し開いていて、そこから光がもれていたので、今日は中がよく見えました。
美容院の中をぐるっと見渡してみると、左側の壁一面に大きな鏡があり、その前には散髪用のイスが3台とシャンプー用のイスが1台ありました。
「誰かいませんか〜。」
一歩中へ入り、物音がしないか耳をすましてみました。
「他の部屋にいて、僕の声が聞こえないのかな…。」
ティテは足音を立てずに、一歩一歩前へ進み、光がもれている突き当りのドアの前までやってきました。
「ここの部屋は電気がついているし、きっとここにいるんだろう。」
そう思い、静かにドアを開いてみました。
すると、目をギュッと閉じてしまうくらい眩しい光がさしてきました。
「うわっ、眩しい!」
腕で目をおおい、少し立ちすくんでいました。
しばらくして、目が慣れてくると、片目づつそっと開き、部屋の中をのぞいてみました。
「あれ、階段だ…。」
そこは、地下へつながる階段でした。
ティテは下の方を伺ってみましたが、光が眩しくて何も見えませんでした。
行こうか行くまいか迷ったティテでしたが、地下に何があるのか気になって仕方がなかったので、降りてみることにしました。
階段を10段ほど下りた時に、足元がサクッと音をたてました。
光が眩しすぎて、よく見えなかったので、手で目をこすり、何度も瞬きをして辺りを見回すと、
そこは一面砂浜でした。
「あれ?こんなところに砂浜がある…」
顔を上にあげ、前を見ると、そこには見覚えのある青く綺麗な海が広がっていました。
「ここは、僕達がこの前まで住んでた近くの海辺だ…。」
ティテはあまりにもビックリしたので、目を丸くしたまましばらくそこから動けませんでした。
「ど、どうして僕はここにいるんだろう…。」
無意識のうちに、砂浜を歩いていたティテでしたが、ここが美容院の地下だった事を思い出し、
あわてて、階段があった所へもどりました。
「なんで、美容院の地下に、僕達が住んでた場所があるの?」
何が何だか訳がわからずに、急いで階段をかけあがり、美容院のドアの外まで走って行きました。
全身全力で走ってきたティテは息をきらしながら、もう一度後ろを振り返り、美容院を見ました。
「これは、きっと夢だ。僕はまだ寝てるんだ。」
そう自分に言い聞かせ、ふらつきながらも家に戻っていきました。
ただいまも言わず、自分の部屋に飛び込んだティテは、さっきの不思議な出来事が頭からはなれず、まだ胸がドキドキしています。どうしていいかわからなくなったティテは、そのままベッドの上に横になり、いつの間にか眠ってしまいました。
おかしなお父さん
ずいぶん長い間寝ていたティテは、はっと目を覚ましました。
「今、何時だろう…」
下へ降りていくと、お母さんが不機嫌そうに、
「ティテ、どこにいたの?タロの散歩にも行かないで…。帰ってきたなら、ちゃんとただいまを言ってね。」
とティテに言いました。しかしティテは居間の壁にかかってある時計を見て唖然としていました。
「も、もう4時なの?」
「そうよ。あなた、ずっと自分の部屋にいたの?なかなかお隣さんから帰ってこないから心配していたのよ。」
とお母さんが厳しく言いました。
「ぼく、ずっと寝てたんだ…。」
その時、ティテは今朝、隣の地下室で見た海岸の記憶がよみがえってきました。
「イナハイ海岸…。」とティテがつぶやくと、
「どうしたの?イナハイ海岸で暮らしていた時の夢でも見たの?」
とお母さんが優しく問いかけました。
「う、ううん。ちょっと思い出しただけ…。」
ティテは今朝の出来事をお母さんに話してもきっと信じてはもらえないと思い、言うのはやめました。
「タロの散歩に行ってくるよ。」
そう言うとティテはタロを連れて、いつものコースへ散歩に行きました。
ブタのタロは待ってましたと言わんばかりの勢いで紐をひっぱり、
ティテはタロをコントロールするので大変でしたが、
やっぱり隣の美容院の前を通る時は様子が気になり、
そっと窓をのぞいてみるのですが、いつもと何の変わりもありませんでした。
「朝、会わなかった事怒ってるかなぁ」
と、心配しながら興奮するタロの散歩を続けました。
20分くらい近所を回り、家のそばまで戻ってくると、
ティテは家の扉の前にボーッと立っているお父さんを見つけました。
「お父さん何してるんだろ。」
ティテはタロを後ろにやり、そっとお父さんに近づき
「わっ!」
と叫んで驚かせてみました。
ところが、お父さんはティテには気づかず、まだボーッと立って扉を見つめています。
「おーい。お父さん!そんなところで何してるの?」
ティテは大きな声でお父さんの顔に向かって叫んでみました。
「おぉ。ティテ。タロの散歩か?さっ、中に入ろう。」
何もなかったかのように、お父さんはティテの背中を押し、家の中に入りました。
キッチンではお母さんがいつものように晩御飯のしたくをしていました。
「お母さんただいま。今日のご飯は何?」
お母さんはティテとお父さんが一緒にいるのを見て
「あら、一緒だったの?おかえりなさい。今日はシチューよ。」
と笑顔で答えました。
するとお父さんは何も言わずにスッと寝室の方へ行ってしまいました。
「なんかお父さん変だよ。さっき家の前にずぅっとボーッと立ってたよ。」
お母さんは少しも心配せずに
「久々に早起きしたから、疲れてるのよ。ところでティテ。今朝、お隣さんの所で何をしてきたの?」
お母さんの質問にティテはドキッとしました。
「け、今朝、お隣さんに行った事は行ったんだけど、誰もいなくて…。」
それ以上は話しませんでした。
「そうだったの?じゃあ丁度よかった。シチュー作りすぎたから、これお隣さんに持って行ってくれない?」
「えっ?今から?」
ティテは不安そうに聞きました。
「そうよ。もうすぐ晩御飯の時間だし。今日会えなかったのなら丁度いいじゃない。」
ティテは断る理由を考えましたが、何も思い浮かばなかったので、
しかたなく引き受けることにしました。
「じゃあ、行ってくるよ。」
ティテはできたてのシチューを持ち、ドキドキしながら家を出ました。
「今日、勝手に家の中に入った所を見られていたらどうしよう…。」
今朝の事をいろいろ考えているうちに、隣の美容院のドアの前まできてしまいまいした。
「すみません。隣のマイヤーズです。」
ドアベルを鳴らし、大きな声で叫びました。
するとドアはすぐに開き、中からまゆげがお腹くらいまでのびた背の高い男の人が出てきました。
「それじゃあ、また。今週は忙しいから来週にでもおいでなさい。」
ドアの中から美容師が男の人にそう言うと、男の人はうなずいて去っていきました。
「おや、ティテ。いいところに来たね。今日の仕事が丁度終わった所なんだよ。さっ、中へお入り。」
ティテはドアの外から、明かりがついた部屋の中を覗き込み、
今朝見たつきあたりのドアを確認しましたが、そのドアは閉まっていました。
「お邪魔します。」
と小さな声でつぶやくと、美容師の背中を見ながら中へ入りました。
「今、何時だろう…」
下へ降りていくと、お母さんが不機嫌そうに、
「ティテ、どこにいたの?タロの散歩にも行かないで…。帰ってきたなら、ちゃんとただいまを言ってね。」
とティテに言いました。しかしティテは居間の壁にかかってある時計を見て唖然としていました。
「も、もう4時なの?」
「そうよ。あなた、ずっと自分の部屋にいたの?なかなかお隣さんから帰ってこないから心配していたのよ。」
とお母さんが厳しく言いました。
「ぼく、ずっと寝てたんだ…。」
その時、ティテは今朝、隣の地下室で見た海岸の記憶がよみがえってきました。
「イナハイ海岸…。」とティテがつぶやくと、
「どうしたの?イナハイ海岸で暮らしていた時の夢でも見たの?」
とお母さんが優しく問いかけました。
「う、ううん。ちょっと思い出しただけ…。」
ティテは今朝の出来事をお母さんに話してもきっと信じてはもらえないと思い、言うのはやめました。
「タロの散歩に行ってくるよ。」
そう言うとティテはタロを連れて、いつものコースへ散歩に行きました。
ブタのタロは待ってましたと言わんばかりの勢いで紐をひっぱり、
ティテはタロをコントロールするので大変でしたが、
やっぱり隣の美容院の前を通る時は様子が気になり、
そっと窓をのぞいてみるのですが、いつもと何の変わりもありませんでした。
「朝、会わなかった事怒ってるかなぁ」
と、心配しながら興奮するタロの散歩を続けました。
20分くらい近所を回り、家のそばまで戻ってくると、
ティテは家の扉の前にボーッと立っているお父さんを見つけました。
「お父さん何してるんだろ。」
ティテはタロを後ろにやり、そっとお父さんに近づき
「わっ!」
と叫んで驚かせてみました。
ところが、お父さんはティテには気づかず、まだボーッと立って扉を見つめています。
「おーい。お父さん!そんなところで何してるの?」
ティテは大きな声でお父さんの顔に向かって叫んでみました。
「おぉ。ティテ。タロの散歩か?さっ、中に入ろう。」
何もなかったかのように、お父さんはティテの背中を押し、家の中に入りました。
キッチンではお母さんがいつものように晩御飯のしたくをしていました。
「お母さんただいま。今日のご飯は何?」
お母さんはティテとお父さんが一緒にいるのを見て
「あら、一緒だったの?おかえりなさい。今日はシチューよ。」
と笑顔で答えました。
するとお父さんは何も言わずにスッと寝室の方へ行ってしまいました。
「なんかお父さん変だよ。さっき家の前にずぅっとボーッと立ってたよ。」
お母さんは少しも心配せずに
「久々に早起きしたから、疲れてるのよ。ところでティテ。今朝、お隣さんの所で何をしてきたの?」
お母さんの質問にティテはドキッとしました。
「け、今朝、お隣さんに行った事は行ったんだけど、誰もいなくて…。」
それ以上は話しませんでした。
「そうだったの?じゃあ丁度よかった。シチュー作りすぎたから、これお隣さんに持って行ってくれない?」
「えっ?今から?」
ティテは不安そうに聞きました。
「そうよ。もうすぐ晩御飯の時間だし。今日会えなかったのなら丁度いいじゃない。」
ティテは断る理由を考えましたが、何も思い浮かばなかったので、
しかたなく引き受けることにしました。
「じゃあ、行ってくるよ。」
ティテはできたてのシチューを持ち、ドキドキしながら家を出ました。
「今日、勝手に家の中に入った所を見られていたらどうしよう…。」
今朝の事をいろいろ考えているうちに、隣の美容院のドアの前まできてしまいまいした。
「すみません。隣のマイヤーズです。」
ドアベルを鳴らし、大きな声で叫びました。
するとドアはすぐに開き、中からまゆげがお腹くらいまでのびた背の高い男の人が出てきました。
「それじゃあ、また。今週は忙しいから来週にでもおいでなさい。」
ドアの中から美容師が男の人にそう言うと、男の人はうなずいて去っていきました。
「おや、ティテ。いいところに来たね。今日の仕事が丁度終わった所なんだよ。さっ、中へお入り。」
ティテはドアの外から、明かりがついた部屋の中を覗き込み、
今朝見たつきあたりのドアを確認しましたが、そのドアは閉まっていました。
「お邪魔します。」
と小さな声でつぶやくと、美容師の背中を見ながら中へ入りました。
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